第二十二回 元気が出た、元気が出るテレビ


 【お知らせ】
6月23日(金)、高円寺の『のら犬カフェ』にて、ぜんじろうさんを招いて「トークと軽食の夕べ」を開催します。
おいしい食事と、楽しいおしゃべりの一夜。ミミィ&カッキー初のイベントです。ぜひお越しくださいませ。詳細は6月に発表。
■ビートたけしの優しさと凄さ
――
前回に引き続き、東京進出した当時のお話を伺います。
ぜん
よろしくお願いします。
――
『テレビのツボ』から*『天才!たけしの元気が出るテレビ!!』にコマを進められた時はやはり驚きましたし、嬉しかったです。たいへんミーハーな質問なのですが、ビートたけしさんの印象はいかがでしたか?
ぜん
ビックリしたのがね、たけしさんの方から楽屋に挨拶に来はったたんです。
――
え! たけしさんのほうからですか?
ぜん

そうです。しかも「ぜんじろう君、頑張ってるね。この前、観たよ」って話しかけてださって。

――
観たって、『テレビのツボ』をですか? たけしさんが?
ぜん
そうなんです。
――
それはちょっと、いやかなり驚きですね。関西ローカルの深夜番組を、たけしさんが……。
ぜん
驚きました。日本のヒーローじゃないですか。「殿」じゃないですか。それやのに僕のこと、ぜんぶ調べてはるんですよ。もうそれで、いきなり心を奪われましたわ。
――
そうでしょうね。いやそれは、できることではないですよ。
ぜん
そんで、「元気が出るテレビも、もっと面白くしたいんだよ。いっぱい面白いことやろうよ。ぜんじろう君が好きなことをやっていいからさ、企画とか書いて、どんどん持ってきて」って。
――
え〜。なんて優しい。ありがたいお言葉ですよね。
ぜん
それだけやなくてね。スタッフを集めて、「こんな若いのに、ぜんじろう君みたいにやる気があるやつ、いないよ。お前らも、ぜんじろう君の言うことをよく聞くように」って言うてくださって。
――
さまざまな伝説と長い歴史があるから、新しくレギュラーになるぜんじろうさんが萎縮しないようにしてくださったんですかね。
ぜん
そうやと思います。番組に入りやすいように入りやすいようにしてくれはるんです。なんて男気のある方やと、感激しましたわ。人間的に、すべてできてはる人やと思いましたわ。
――
BIGな人って、単に立場がBIGなだけじゃなく、度量や優しさが桁違いにBIGなんでしょうね。
■タレントを決してけなさなかったテリー伊藤
――
あと『元気が出るテレビ』は、ビートたけしさんと総合演出のテリー伊藤(当時は伊藤輝夫)さんのタッグが美しいまでに結晶化した番組だと思うのですが、テリーさんはどういう方でしたか?
ぜん
いかにタレントが気持ちよくやれるかを常に考えてはりましたね。タレントさんをけなすことは一切なかった。ぜったいなかったですね。誰にも、ものすご明るく接して、持ちあげてくれる。それこそホストみたいに。
――
松方弘樹さんが笑いすぎて泣いてましたもんね。あの大御所俳優があそこまでリラックスして素を見せることができたのは、テリーさんの手腕があったからでしょうね。
ぜん
そうやと思います。でも下のもん(スタッフ)にはバーンって怒鳴って、それを我々に見せるんです。それはプレッシャーになりましたね。タレントとスタッフの接し方は、ビッシーッと分けてはりました。
――
スタッフには凄く厳しい方だと言う噂をよく聞くのですが。時に肉体言語も駆使し、殴られた人もいたとか。
ぜん
豪快な方でしたね。僕は、ものすご優秀なビジネスマンやと思いました。いい番組を作るためには自らホストにもなるし、鬼にもなる。
――
なるほどね。「ビジネスマン」っていうのは、言い得て妙だと思います。背筋の伸びるお話です。あと、同時期にぜんじろうさんにとって転機となった番組が『紳助の人間マンダラ』ではないかと思うのですが。
ぜん
あれは……紳助さんがある日、食事をセッティングしてくださって、それで、
   
 ビートたけしがぜんじろうの頭脳を求めた時を同じくして、奇しくももうひとりの漫才ブームの立役者、島田紳助から直々のオファーが! 次回、『紳助の人間マンダラ』ウラ話。まさに人間模様の曼陀羅が展開する!
  *『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』
1985年4月14日〜1996年10月6日に日本テレビ系列で毎週日曜日の20:00〜20:54に放送していたバラエティ番組。芸能人よりも市井の人々に光を当て、様々な人気者を生み出した。「○○区にすごいそば屋のオヤジがいた!」など、視聴者にとってどうでもいい企画も数多く放送され、そのバカバカしさが高視聴率を呼んだ「ドキュメントバラエティ」の元祖。まだアマチュアバンドだったX−JAPAN、 ただのヤンキーだった的場浩司、
単なるダンス好きの高校生だった山本太郎、単なる美少年だった岡田准一、 沖縄の空手少女だった安室奈美恵、「好きな人の勇気を出して告白」したおぎやはぎ矢作、告白された側に稲森いずみ、などなど、のちに芸能界で活躍するスターたちが素人時代に出演していた。
(以上、人名については敬称略)
 
TEXT■吉村智樹 テープ起こし■泡の屑 撮影■おーしま2号
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